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解答・解説

第10問 生成AIを活用した効率的な学習支援ツールの開発

 教育系スタートアップが、AI学習支援ツールを開発しています。このツールは、学生の自然言語による質問に対して、教科書の内容に基づいて回答を生成するものです。開発チームはインフラ構築やモデルの学習を最小限に抑えて、短期間でのサービス提供を目指しています。一方、質問の意図を正確に捉えて、文脈に応じた回答を生成できる高度な自然言語処理能力も求められています。これらの要件をすべて満たす効率的なソリューションを選択してください。

  1. 事前定義されたルールに基づく条件分岐ロジックを設計して応答を制御する。
  2. Amazon Lex を使用して自然言語インターフェースの応答機能を提供する。
  3. 汎用的なAI開発ライブラリを利用して、基礎から独自のモデルを学習させる。
  4. 事前学習済みの高度な大規模言語モデルをAPI経由で呼び出して活用する。 [正しい解答]

(問題ID:AIF202C010)

解答

正しい解答:D. 事前学習済みの高度な大規模言語モデルをAPI経由で呼び出して活用する。

△ 判定不能

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徹底解説

 学生の自然言語による質問の意図を正確に捉えて、教科書の内容に基づく回答を文脈に応じて生成するためには、高度な自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)能力が求められます。これを最小限のインフラ構築とモデルの学習で短期間に実現する効率的なソリューションは、「事前学習済みの高度な大規模言語モデルをAPI経由で呼び出して活用する」 ことです。大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)とは、膨大なテキストデータを使って事前に学習された、言語を理解・生成するための人工知能(AI:Artificial Intelligence)モデルのことです。文章の生成や翻訳、質問応答、文章の要約から意図検出まで、あらゆる自然言語処理タスクに対応できる汎用性の高い技術です。
 このようなLLMを本問題のテーマである学習支援ツールに組み込むための鍵となるのが、API(Application Programming Interface)の活用です。APIは、異なるソフトウェアが相互に連携して、機能やデータをやり取りするための仕組みです。開発チームは、APIを活用することで、必要な機能を自身でゼロから構築することなく、アプリケーションに簡単に組み込むことができます。既に学習済みのLLMもAPI経由で利用することで、複雑なNLPタスクを迅速に実装することができるため、上述の学習支援ツールの開発も、当該要件を満たして、インフラ構築やモデルの学習に掛かる負荷を大幅に軽減することが可能となります。
 その他の選択肢は、AI学習支援ツールの要件をすべて満たす最適なソリューションではありません。「事前定義されたルールに基づく条件分岐ロジックを設計して応答を制御する」 することは、最適なソリューションではありません。この方法では、予め定められたキーワードやパターンに応じた固定的な応答を返す仕組みとなってしまうため、自然言語の理解や柔軟な文脈処理には不向きであり、学生の多様で曖昧な表現の質問に対応するには限界があります。
 「Amazon Lex を使用して自然言語インターフェースの応答機能を提供する」 することは、最適なソリューションではありません。Amazon Lex は、音声やテキストを使用してアプリケーションに対話型インターフェイスを提供するサービスです。Amazon Alexa に採用されている深層学習(Deep Learning)の技術を利用して、自然言語による高度な対話ボット (チャットボット) を作成することができます。しかしながら、主に定型的な対話フローやFAQ対応に適したサービスであり、複雑な文脈理解や教科書ベースの応答生成のために利用するには限界があります。また、Amazon Lex 単体では高度なNLP機能を持っておらず、LLMのような深い言語理解や生成能力は備えていません。本問題の学習支援ツールで求められている、質問の意図を正確に捉えて、文脈に応じた回答を生成することを実現するには不十分なサービスです。
 「汎用的なAI開発ライブラリを利用して、基礎から独自のモデルを学習させる」 することは、最適なソリューションではありません。この方法は理論的には柔軟性が高く、独自のニーズに合わせたモデル構築が可能ですが、膨大なデータ、計算資源、専門知識、時間が必要であり、スタートアップが短期間でサービスを提供するには現実的ではありません。これは、「インフラ構築やモデルの学習を最小限に抑える」 という要件に反する選択肢です。

ちなみに...
 LLMの代表例としては、GPT(Generative Pre-trained Transformer)や Amazon Bedrock を通じて利用可能な各種モデルがあり、以下のような特徴を持っています。

  • 自然言語の理解と生成
    会話や要約、翻訳、コード生成などの幅広い言語処理タスクに対応可能
  • 事前学習(Pre-Training)と微調整(Fine-Tuning)
    大量のテキストデータをもとに事前に学習されており、用途に応じて追加調整が可能
  • トークンベースの推論
    文章を単語やサブワード単位で処理して、次に来る語句を予測した自然な文章を生成

 これらの基本的な仕組みや特徴は、AI Practitioner 資格試験でも重要なポイントのひとつです。特に、LLMの概念と Amazon Bedrock のようなAWSの関連サービスとの関係を把握しておくことが求められます。LLMの詳細は、AWS社の下記のサイトのページを参照ください。

大規模言語モデル (LLM) とは何ですか?:
https://aws.amazon.com/what-is/large-language-model/?nc1=h_ls

問題掲載日:2025-10-27


Information

What's New

  • 2025/10/27 問題ID: AIF202C010 生成AIを活用した効率的な学習支援ツールの開発に関する問題を追加しました。
  • 2025/10/25 問題ID: AIF203C013 基盤モデルのファインチューニングのアプローチに関する問題を追加しました。
  • 2025/10/19 問題ID: AIF201C009 製品の外観検査を自動化するソリューションに関する問題を追加しました。
  • 2025/10/15 問題ID: AIF205C006 AIを活用したローン審査システムにおけるAIガバナンスに関する問題を加筆・修正しました。
  • 2025/10/13 問題ID: AIF101C007 様々な形式の入力データを利用する生成AIモデルに関する問題を追加しました。

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